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特許戦略


■ 特許戦略とは
限られた経営資源を活用し、効率的な発明創出、特許化、権利活用を行い、市場内優位性を高めるための戦略をいいます。
■ なぜ特許戦略が必要なのか

知的財産立国を標榜するわが国では、「モノ」から「知識」や「情報」など目に見えない価値や権利に重きを置くパラダイムシフトが急速に進展すると同時に、BRICsや東南アジア諸国等の台頭、更には様々な業種で浸透した価格破壊等も相俟って、コスト削減・低価格による利益創出は既に限界となっています。

従って、製造業、サービス業のいずれもその製品やサービスに対する高い独自性や付加価値に基づく差別化による利益が望まれます。このような流れの中で、差別化の根源である独自性や付加価値の模倣を防いで、市場内競争力を維持していくために特許権による武装が不可欠であり、その武装を円滑に進めるための特許戦略が必要となります。

■ 生産サイクルと特許サイクル


生産サイクルと特許サイクル

この図は製造業における望ましい生産サイクルと特許サイクルの関わりを描いた模式図です。

まず、投資をしてR&D(研究開発)を行い、その成果物を生産し、製品を販売して利益を上げる生産サイクルがあります。R&Dの有体物たる成果物を生産することから、有体物サイクルとも言えます。また、R&Dの成果を発明として捉えて特許出願をし、特許を取得して競合者に対する特許障壁を構築することで競合者の市場参入を阻み、自社のみ独占的に販売する優位性を確保する特許サイクルがあります。特許サイクルでは発明という無体物を扱うことから無体物サイクルと言うことができます。この特許サイクルでは、第三者に特許ライセンスをすることによって利益を上げることが可能です。製品の販売による利益と特許による利益は、投資に配され、再びR&Dによって独自性と付加価値の高い技術やアイデアを創出します。

■ 経営戦略と特許戦略

経営戦略と言えば、ハーバード大学教授のマイケル・E・ポーター氏が有名ですが、ポーター教授は著書『競争優位の戦略』の中で、経営の3つの基本戦略として、1.コストリーダーシップ戦略、2.差別化戦略、3.集中戦略を示しています。また、それらの3つの戦略について、リスクを著書の図表1.4として示しています。

図表1-4


ここで、面白いことに、3つの異なる戦略のいずれにもリスクとして、競争相手の模倣があります。経営戦略においても、競争相手に模倣されることがリスクとして常に存在しており、オリジナリティを維持することが競争優位の源泉となります。このことは、まさしく特許戦略における独自性と高い付加価値の模倣の排除という目的と軌を一にするものであり、経営戦略と特許戦略が密接に繋がっていることを端的に示しています。

■ 特許戦略
特許戦略は大きく分けて、特許出願戦略と特許活用戦略があります。
[1]特許出願戦略

特許出願戦略は、文字通り特許出願を行う際の戦略となります。
弊所では戦略の内容として、大まかには次に示す2つがあると考えています。

1)広い権利を取得するための戦略
2)不利な状況においても権利を取得する戦略

広い特許権を取得することは、特許権の取得後の活用時に大きな影響を与えます。
特許権の範囲が狭いと抵触するケースが少なくなり、相手方の行為を差し止めできなかったり、ライセンス契約ができなかったりします。すなわち、特許権を取得する意味がなくなる可能性もあるということです。特許権の範囲が広いと逆に大きな利益に繋がります。
広い権利を取得するための戦略遂行には以下の2つのポイントがあります。

@発明を上位概念で捉えること
A発明を多面的に捉えること

発明を上位概念で捉えるためには、まず発明の構成要素を上位概念で捉える必要があります。具体的には、発明の構成要素として、「バネ」を用いる場合に、特許請求の範囲に、「弾性体」と記載するような場合です。「弾性体」は、下位概念として「バネ」の他にも「ゴム」などが含まれます。従って、「弾性体」として権利を取得しておくことで、「バネ」の他に「ゴム」を用いて実施するような場合にも権利が及ぶことになります。このように上位概念で捉えることで特許権の範囲が広がることになります。

発明を多面的に捉えるとは、下図に示すような場合をいいます。

特許戦略ポイント図


最初に流量制御装置を発明した場合に、その発明を基礎として関連する発明を展開しています。最初の発明の部分を発明とした流量制御回路や流量計ユニットをはじめ、プログラムは方法発明への展開も検討します。このように1つの発明から水平展開を行うことで、発明を多面的に検討します。一般的にはこれらの発明は1つの特許出願にまとめて出願することが可能ですので、多面的に考えることで特許権の範囲が広くなります。

不利な状況でも特許化するための戦略は、上位概念で特許が取得できない場合に、なるべく上位の下位概念として特許化する戦略です。上位概念で特許を取得できるのが最も望ましいのですが、上位概念となればなるほど、先行技術に類似することも多く、進歩性が否定される可能性も高くなります。従いまして、通常は、出願時に記載した上位概念に対し、拒絶理由通知などを受けた際に、少しずつ上位から下位へと移し、なるべく広い特許権を取得するようにします。これは、いわば特許庁の審査官との知の攻防となります。下位概念への移行は、特許請求の範囲の補正によって行いますが、特許法では出願時の書類に記載されていないことを補正によって追加することを禁止していますので、予め、攻防を想定した記載を心がけなければなりません。これが、不利な状況でも特許化するための戦略の基本となります。

このような攻防を想定した様々な慎重な記載が後々不利な状況での起死回生の決め手となるのです。

[2]特許活用戦略
特許活用戦略は、特許権や実用新案権を取得した後に、自社内で有効に活用したり、他社とライセンス契約をしたり、他社の侵害に対する措置を取るための戦略を言います。
それぞれについて簡単に説明します。
1)自社での有効活用
特許権等を他社にライセンスすることなく、自社がマーケット内で優位性を保つために特許権等の独占排他的な側面を利用します。生産サイクルと特許サイクルの説明の際に用いた図の中の特許障壁に該当します。他社のマーケット内参入を阻むことで、同種類の製品やサービスを自社のみでプライスリーダー的に提供することが可能なので、高い利益率を確保することが可能です。
2)他社とのライセンス契約
特許権等を他社にライセンスするケースは、大きく2つに分けられます。
自社が製品やサービスを提供することなく、他社へそのままライセンス契約するケースと、自社が製品やサービスを提供しながら、他社へライセンス契約するケースです。

前者の場合は、概ね専用実施権の許諾という形でなされ、ライセンス契約先のみの実施を認める対価(ロイヤルティ)が高くなるのが普通です。このケースは、個人の発明家などが特許を取得した場合に自分自身で実施ができないような場合や、マーケットが限られている中小企業が特許を取得した場合に、他のエリアのマーケットに存在する他社に対してライセンス契約をするようなケースがあります。専用実施権でも対象物や地域、時期を限定することが可能ですので、必ずしも自社が実施できないとは限りません。
後者は、自社が実施しますので、他社に対するライセンスは通常実施権という形でなされ、対価は安くなります。また、通常実施権は、複数社に対しても許諾が可能です。ただ、特許権の独占排他性という性格から、ライセンシー(ライセンスを受ける人)は、その他の会社等への許諾は望みませんので計画的なライセンス契約が重要となります。

なお、特許権は特許庁の審査官の審査を経て付与されますが、実用新案権は現行制度では無審査で登録されるため、実用新案技術評価書という書面を特許庁に対して請求し、その評価書を添付してライセンス契約をしなければなりません。
3)他社に対する侵害警告
特許権等の侵害に対しては、差止請求と損害賠償請求を行うことが可能です。これは自社の特許権を侵害された場合にできる権利ですが、もちろん他社の特許権を侵害した場合には、他社にその権利があることを忘れてはなりません。

従いまして、事業分野に対応したパテントマップを作成して、常日頃、自社による他社の特許侵害の有無や他社による自社の特許侵害の有無をチェックする必要があります。特に他社特許侵害を防止するための行動をパテントクリアランスといい、他社に対する侵害警告よりも重要視されています。他社の特許侵害は、自社の信用を大きく毀損することになり、ブランド価値を大きく下げてしまうことになるためです。

パテントマップは、公開特許公報や特許公報を収集し、表や図にまとめたものを言い、特許戦略遂行のためのまさに海図ともなる重要なツールですので、是非作成をお願い致します。

パテントマップの作成方法等は、最近では書籍も販売されておりますし、特許庁のホームページでも例が紹介されていますので、ご参照いただければと思います。

また、特許戦略全般に関するご相談につきましては、弊社あるいは弊社の経営母体である維新国際特許事務所にご相談ください。


 
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