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インタビュー

第1回
(株)豆子郎
常務 田原文栄様


第2回
(株)うるとらはまい
デザイン事務所
デザイナー
浜井 弘治様



(株)うるとらはまいデザイン事務所
デザイナー 浜井弘治様
平成23年5月23日(金)18時〜19時
場所:
うるとらはまいデザイン事務所

 今日は、福岡を中心拠点としてご活躍の株式会社うるとらはまいデザイン事務所のデザイナー浜井弘治様を福岡の事務所にお訪ねしてお話を伺いました。



井上 本日はご多忙のところ、お時間いただきまして誠にありがとうございました。
まず、デザイナー浜井弘治として、どういう仕事をしておられますか?あるいは、株式会社うるとらはまいデザイン事務所としてはどういう仕事をされていますか?これら二つに対してのブランドの概要について、お伺いできたらと思います。
浜井

弊社では、うるとらはまいデザイン事務所の中にいくつかブランドを抱えております。その中で、「タイガー・バンブー・ジーンズ」という自社ブランドがあるのですが、タイガーバンブーでやろうとしていることは、山口県の竹を衣料に使えないか?など、徹底してエコを切り口としたブランド作りをしていこうと考えております。それでブランドロゴに、絶滅の危機にある虎と、竹林公害の竹を使っております。また、それらを探ることによって、様々な環境問題に取り組む必然性が出てきます。

うるとらデザインはまい事務所として、積極的に展開したいのは、地方こそデザインが必要であり、デザイナーが必要ではないか?という視点の考えです。それを具体的に説明します。今、日本全国の中小の工場で、メイドインジャパンとして生き残っている工場は、日本全国でも、この工場しかできない!という特徴のある技術を持った工場です。ある時、それに気が付いて、それらの工場と取り組み、ひとつブランドを作り、販売ルートまで結び付けて、エンドユーザーに提供する事ができればと考えました。

そのきっかけは、「タイガー・バンブー・ジーンズ」というブランドを作るにあたって、私のデザインしたジーンズを縫製してくれる縫製工場を探して回った時に、Tシャツの縫製工場でジーンズを縫製したら、思いもよらないジーンズができたのです。それには、あらためて日本の工場のレベルの高さに感動しました。その工場と技術を打ち出すブランドを作る必要性があり、そこの工場と組んで、日本には、まだこんなにすごい技術を持ったブランドがあるのだ!という事を皆に知ってもらうためのブランドを立ち上げたいと思いました。それは、自分こそが、日本の工場が無くなったら困る事に気が付いたのです。それは、日本中の繊維産地をまわっていて、様々な技術を持った工場の職人さんの出会いと、実際にサンプルを作っていただいた結果からそのように思いました。

他の例を上げますと、日本でも有数のレベルの靴下工場で、靴下編機を使って靴下だけでなく、ストールも作ってみたら、思いもよらぬ発想で、完成度の高い一連の靴下と雑貨が出来ました。

またこういう例もありまして、糸撚る工場なのですが、そこの工場の技術で作ったジーンズなのですが、一見、和紙に見える素材ですが、綿のような機能と強度があります。実は、この糸は、綿糸を中心にして、その周囲に和紙の糸をカバーリングすることによって、和紙と木綿の両方の技術を醸し出すのです。これらの技術を開発された職人さんとの出会いこそが感動であり、是非一緒に取り組んでモノ創りをやりましょう!という話になりました。そこの会社とは、糸を撚る技術を使ったブランドを立ち上げました。

そもそも、最初の取り組みが、この度、期間限定ショップを共催しましたオザキプリーツさんです。オザキプリーツさんには、ここでしかできない技術が数多くあります。中でも、木綿を中心とした天然素材にプリーツをかける。



井上 これは、実は凄いことなのですよね。
浜井 私は、ファッションの中で、ワークカジュアルという分野が、好きです。そのワークカジュアルという分野は、洗いざらしの皺が重要です。しかし、これらの皺というのは、洗ったらとれますし、アイロンかけたら、消えてなくなるのですが、このオザキプリーツさんの技術だと、半永久的に皺が固定されているのです。この技術がMAX加工というオザキプリーツさん独自の技術です。
井上 ブランドの名前として、「タイガー・バンブー・ジーンズ」が一つ存在するのですが、他にブランドはあるのですか?
浜井 あります。一つ一つ説明致します。
まずは、自社のワークカジュアルブランドの「タイガー・バンブー・ジーンズ」です。オザキプリーツさんとのコラボブランドは、「プリ・パル・プリ」です。このブランド名の意味は、『プリーツによる皺をプロデュースする』という意味です。実は、一番新しい展開としましてお医者さんと一緒になって、医者のための高級白衣のブランド立ち上げようとしているのです。そのブランド名は、「ドクターズ・デニム」です。つまり『お医者さんのためのジーンズ』です。それから、撚糸屋さん(糸を撚る工場)と立ち上げようとしているのが、「トゥー・プライ・トゥイン」です。

井上 プライとは?
浜井 プライというのは撚るという意味で、撚糸という業界用語で、双糸のことを英語でトゥー・プライ・トゥインというのです。二つの糸を撚って、思いもよらなかったことができるという意味で、糸の技術そのものをブランドにしようと思っております。関わっていただいた職人さんと一緒になって、一つの技術に対して、一つのブランド名を付けているところです。今のところブランド名が付いているのはそこまでですが、他の工場さんとも、簡単な企画書や構想は全部できております。目指す方向のデザイン画、素材の方向、パターン技術、販売ルートの方向なども入れております。
井上 それらは、様々なところとコラボレーションして、うるとらはまいデザイン事務所から提案するのですか?
浜井 そうですね。従来のファッションデザイナー主導のライセンシー側に一方的にイメージだけを提案するライセンスビジネスという方法でない、新しい取り組み方を模索しております。
井上 浜井さんを中心にして、工場が様々で、それぞれ違う技術があり、どこそこに販売するという販路もまた違うのですね?
浜井 そうですね。
井上 業界の中の様々な業種が集まって、適切な販売ルートを開拓しながら、モノ創りを進めるという感じですね。
浜井 そうですね。だから、ブランドによっては、ブランド創りの方法も違います。オザキプリーツさんは、プリーツ加工の工場ですが、打合せの度に様々な加工サンプルを上げていただきながら、工場とデザイナーが一緒になって最終製品まで、お互いの発想と技術を開拓しながら作るっていう感じです。しかし、「ドクターズ・デニム」の時、つまりお医者さんの白衣のブランドの場合は、お医者さんは作り手ではないので、医療の現場のアドバイスをいただきながら進めます。しかし、これらは、ファッションとメディカルという180度違う業界です。だからこそ、理解し合いながら、お互いにアイデアを出しぶつけ合ってくという感じです。
井上 おもしろいですね。デザイナーが、一般の人に対して情報発信していく時に、販売促進的な活動や広報活動は具体的に何かされていますか?
浜井 ひとつは百貨店の催事です。今、百貨店は催事スペースが充実していて、例えば昔でしたら百貨店の最上階が催事スペースだったのですが、そうではなくて、より集客できるフロアーにある。
井上 今日みたいに。
浜井 そうですね。今日のようなフロアーを利用して何かイベントを作っております。先日は、オザキプリーツさんとファッションショーを開催しました。

過去には、ファッションビルの居抜きで撤退していったスーパーブランドの跡で、「工場見学」というタイトルで展覧会と期間限定ショップを同時開催しました。それは、実際の服の製造過程を見せるというイベントで、実際に工場で稼動している機械を動かして、一般の消費者の方にファッションの製造過程を見ていただきました。これは、物事の考え方を空間で提示する一種の現代美術の表現で、インスタレーションという表現です。
井上 デパートの催事の会場を使うという事ですね。また、美術館、特に山口県内でいうと山口情報芸術センターで企画展としてインスタレーションを開催しておりますね。今後、アートとしての情報発信はしないのですか?
浜井 アートとしても、ファッションとしても両方の視点で本当はやっていきたいですね。
井上 今日も、一つの場所は、百貨店の催事場であり、もう一つの場所は、アートスペース獏でした。一つは期間限定ショップですが、もう一つは、作品の発表の場であり、表現の場ですよね。
浜井

そうですね。アートとして展開すると、ファッションとは違う層の方々に広がる可能性があります。それが狙いです。つまり、ファッションでの展開とは違う分野の人に来てもらいたい、特にアートのようなモノに対しての目利きができる人たちやこだわりのある方々に見ていただきたいのです。

 

 

 

井上 なるほど。今までのお話は、ブランド戦略的なお話ですよね。
浜井 はい。
井上 うるとらはまいデザイン事務所として、他の会社との違いというか、一線を画する特徴はお持ちですか?
浜井 私自身がデザイナーとして川上から川下まで関わってきたといったら言い過ぎですけど、生地織る工場から、流通まで一通り関わってきたという経験と実績があります。さらに実際にショップを持ったこともあります。また、インスタレーションと期間限定ショップいう形式で、多くの催事を多くの場所で開催した経験があります。その中でも、素材については、機屋という生地を織る工場の現場にもおりました。ですから、素材を見ると、生活のシーンをイメージできます。これら川上から川下まで見つめて、さらにコンシューマー(最終消費者)に対しては、生活のシーンまで提案できる事が他のデザイン事務所と違う強みです。
井上 今日拝見したところの、光る素材(和装に使う箔加工)もありますし、今日のこのジーンズ(ストレッチ素材)なんかもそうですね。他にも竹を部分に用いておりますね。その中でも、私が興味を持ったのは、残糸です。そういった原材料の扱い方が特徴的で、素材感が、これまでのデザイナーとは違うのかな?という感じがします。
浜井 ええ。
井上 そういうところがありますか?
浜井 そうですね。素材に対して特にこだわりがあります。最初に糸を見て最終製品まで発想できます。この事について、時々感じるのですが、物を見ても、見る視点が他の人と、違っているのかなと思っております。私自身が生地を織る工場にいたことがあるのです。生地を織る工場のテキスタイルデザイナーは、糸を見てからモノを発想できないと駄目なのです。だから、他の技術の中で原材料を見ても、他に技術に転用できないかという発想をしてしまう習慣は、常にありますね。
井上 あと、ブランド力に関係して、どういう事に重点を置いておりますか?
浜井

一つはこだわりとしては、徹底して技術を重視したブランド力ですね。一般的には、ブランディングするときに、イメージ戦略を重点にする事が多いと思いますが、結局、実体のないものって駄目だと思うのです。ですから、技術の面で掘り下げて、技術があってこそのイメージ戦略ということだと思います。だから、むやみなストーリーをつけるのではなくて、技術にこだわりを持ちます。
例えば、オザキプリーツさんの技術で、先ほどのMAX加工(木綿にパーマネントプリーツをかける事ができる)というのは、もう発明ですよね。だから、そこの技術を掘り下げて一般の方々にどのように使えば便利かを提案しながら、デザインに展開します。

井上 なるほど。さっきも、川上から川下へ全部カバーしたことがあるという経験が、だいぶんものをいっているわけですね。
浜井 そうですね。
井上

単なる絵に描くデザイン、つまり、デザイン画的なところだけじゃない、素材から流通にいたるまでカバーしている。これら全般を含めての技術ですね。
ターゲットとしているような、女性像ってありますか? また、男物の時は、男性像でもいいのですが?こういう人に着て欲しいとか。

浜井

やっぱり、新しい考え方を持った人っていうことですよね。例えばそれは、若い人であったり、特に女性だったり、感性が豊かでそういう事に対して敏感な人が、本当はいいのです。また、物事にこだわりを持って生活しているとかであると、若い人であるというのは、必ずしも関係ないのですが。。。

井上 同業他社との差別化というようなモノとして捉えた時に、ライバルブランドはありますか?
浜井 仮想として目指すべき方向としては、あります。うちのタイガーバンブーだと、パタゴニアです。パタゴニアのすごいのは、自社でオリジナル製品を開発しております。例えばペットボトルでフリースです。
井上 パタゴニアって、どっちかっていうとアウトドアですよね。
浜井 でも、すごいと思いますよね。エコという観点でパタゴニアですね。
井上 エコつながりですね。パタゴニアは仮想のライバルですが、パタゴニアと目指すべき方向性の違いといのはありますか?
浜井 パタゴニアはナショナルブランドですね。しかし、「タイガー・バンブー・ジーンズ」は、徹底してコアなところにもって行きたいという気持ちがあります。最初の発想のスタートですが、山口県の竹を使ったとかですね、ありえないくらいにコアなところに展開してみれば、おもしろいと思います。それこそ、冗談みたいな発想で、山口県の竹だったら中国は真似できないだろう!みたいな、遊び心の要素を考えております。それで分かったのは、遊び心で発想するって重要な時代だと思います。
井上 共通して思うのは、様々なブランドがあるのですね。これら一連の商品サンプルを見ると、残糸を多く使っていますね。残糸の部分使いもありますが、ジーンズにも、付属として残糸を使われておりますし、今日の木綿に対してはプリーツ加工のベース素材にも残糸が使ってあります。これらのように残糸をベースに展開したいというのはありますか?
浜井 残糸っていうのは調べてみたら奥が深くて、あらゆる繊維産地に存在する。再度調べてみても、大量生産としても必ず出てくるのです。特に、大きい工場だったら予想以上に一定数量決めごとのように余るのです。それら残糸製品を一般の方々の生活に習慣として普及させたいっていう気持ちが、どこかにずっとあります。
井上 それもエコにつながっておりますか?
浜井 そうですね。徹底して残糸という端材を開拓したいっていう気持ちが強くあります。どの分野の製造過程にも端材ってありますが、端材が残った理由が興味深い。それらは、食の世界ですら、端材が存在する。例えば、せんべいの生産ラインの中で、割れたせんべいを売るという方法があります。また、明太子だったら切り子っていうモノが存在する。そういう事って面白いです。むしろ食の世界では、こういう端材の商品が成り立っております。理由があって残ったモノを表に出すという作業は極めて面白いです。
井上

(本棚を見て)ここの本とか見ますと、割とアジアの書籍が多いですね。発想の時にモチーフみたいなものはありますか?

浜井 そういうのでは、広くどれも好きですね。だから、特にどこの国の何が好きということは無いです。
井上 アートは参考にされますか?
浜井 それはかなり参考にします。結局、デザインをやるからといってデザインの分野だけだと、こじんまりするのです。だから、自分自身が何を好きなのか?という事が、自分自身の普遍性を発見する事です。時代ばかり追いかけると、早く行き詰まるのではないか?と思うのです。
井上 芸術全般でどんな分野のどういうアーティストが好きなのですか?
浜井 映画が好きです。黒澤明さんとかですね。
井上 デビッドリンチとか?
浜井 ああ、デビッドリンチも好きですね。
井上 美術館にはよく行かれますか?
浜井 行きます。なるべく、忙しくても、よく行くように心がけております。やはり、美しいモノを見るという事は、考え方、視点を変えてくれますよ。だから、美術館に行くと新しい発見があります。美術って考え方の拠り所になるところもあるのです。YCAM(山口情報芸術センター)もよく行っておりますよ。
井上 好きな服飾デザイナーは誰ですか?
浜井 やっぱり、三宅一生さんとか好きです。川久保玲さんと山本耀司さんも好きですね。
他にサンローランも好きです。サンローランの偉大さは、やった事が、全て今のスタンダードになっている事にあると思います。女性に男物のジャケット着せるとか。シースルー、サファリルックなどなど。サンローランのやったこと紐解いてみて、今の若い人に見せたら、「何だ、全部普通じゃん!」って言いそうですよ。女性に男物のパンツはかせる事は、当時の生活習慣からしてすごい事です。やったことがスタンダードになるって事はすごいですよね。
井上 博多というのは事業展開というのは、何かこだわりがありますか?また、博多という土地柄の特徴として何かありますか?
浜井 博多はおもしろいです。商人の町ですね。日本3大商業都市ですよね。すごく興味深いです。ラーメン屋でも「なぜ、こんなにたくさん、様々なラーメン屋があるのだろう」。普通、商人じゃない人が発想したら、違うことやろうかなと思う事を、徹底して一つの文化を創り上げるみたいなところがあります。他の食文化で、福岡の街にたくさんある焼き鳥も、もつ鍋屋もそうです。ありとあらゆる味のもつ鍋がある、それがおもしろいです。それこそ、手を変え品を変え、店作りから、すごい発想がある。おもしろいです。
井上 それは、服飾といった分野とは限らないお話ですよね。
浜井 そうですね。
井上 服飾と全然関係のないところで、福岡を選ばれたという感じですか?
浜井 そうですね。あえて言ったら、福岡は子供のときのあこがれの街だったからです。
井上 最後に今後の展開といいますか、進む道というか将来像みたいなものは、お持ちなのですか?
浜井 今は、様々な開発を同時にやっているので、それらをまずは形にしていって、できることなら開発者同士をつなげたいですね。それで、それらを統合するような一つの売り場を作ってみたいという事があります。何となくイメージとして、それが全部まとまった売り場が一個あればいいなという感じです。
井上 なるほど。今後の展覧会などの開催予定はありますか?
浜井 8月20日より26日まで1週間、博多リバレイン1F(福岡市博多区下川端3-1 博多リバレイン イニミニマニモ1)のイヴ・サンローランのコーナーだった場所で、博多織をテーマとした展覧会と期間限定ショップを開催します。
テーマは、"博多が好き"からはじまる一歩。
弊社のテーマは『鴛海織物×Tiger Bamboo』
770年の伝統を誇る博多織でオリジナルテキスタイルをコラボ商品として展開します。
井上 今日はお忙しいところ、長時間に亘りありがとうございました。
  株式会社うるとらはまいデザイン事務所
所在地:〒815-0075 福岡市南区長丘2-5-22ヴァンベール平和U53号室
電話・FAX:092-210-6741
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